スポコラが「インフォームド・チョイス」の認証を取得した理由

近年、ドーピング違反による試合への出場停止が相次いでいる。国内でもここ1年で、4件ものドーピング違反が発覚しており、アスリートやスポーツ団体はサプリメントに対して疑心暗鬼になっている。何を信じていいのか?どの商品が安全なのか?判断できない状態が続いていた。その問題を解消するのが国際的アンチ・ドーピング認証プログラムである「インフォームド・チョイス」だ。

国内のアンチ・ドーピング認証の問題点

国際オリンピック委員会(IOC)は、1992年2月に「スポーツにおけるドーピング世界会議」を開催し、バラバラだったドーピング検査のルールを統一した。また透明性を確保するために第三者機関である「世界アンチ・ドーピング機構(WADA)」を設立した。 その流れで設立されたのが「日本アンチ・ドーピング機構(JADA)」だ。JADAは、ドーピング検査や教育・啓蒙活動など行う一方、WADAの禁止リストに抵触しない商品の認証を行っている。 しかし、関係者や専門家たちが、次のような問題点を指摘している。

  • 取り締まる側のJADAが、商品認証をするという利益相反的な矛盾
  • 国内唯一の分析機関である(公財)日本分析センターは、JADAの会員以外の分析を受け付けないこと
  • 商品認証のための分析は、1度しか行わないこと!その後原料変更があっても行わない
  • 分析内容や結果は、一切公開されない閉鎖性(依頼企業にも知らされない)

 

などにより、企業もアスリートもアンチ・ドーピングにおける知識の醸成を行う機会を奪われていたとする意見もある。

グローバル・スタンダードな認証制度へ

世界には国際的なドーピング分析、アンチ・ドーピング認証を行う機関がいくつかある。その中で、分析精度、情報公開、非排他性の面から、もっとも信頼できるプログラムが、英国LGC社が運営する「インフォームド・チョイス」だ。世界24か国で1000を超える商品認証を行っており、年間分析件数は1万3千以上という。運営開始から現在にいたる10年間で、1度もドーピング違反に抵触したことがない。

認証基準は非常に高いもので、会社や工場には大きな負担となる。例えば、工場や倉庫で扱う原料すべてが検査対象となり、コンタミネーションを防ぐための細かな指示や体制にまでメスが入る。しかも製造ロットごとに、サンプルをロンドンの分析センターに送り、分析しなくてはならない。流通市場から商品をピックアップして分析を行うブラインドテストも、年数回行われる。しかしそれは、誰もが申請することができ、クリアーすれば企業の大小にかかわらず認証を行われる。いわゆるグローバル・スタンダードによるプログラムだ。

2020年に向けて

日本選手が、さらに世界で活躍するには、サプリメントの活用は避けて通れない。しかしそれは安全が絶対条件になる。そんな意味で世界が認めた「インフォームド・チョイス」の認定は、選手の案断基準として、大いに貢献するものと思われる。

株式会社ステアス 代表取締役 菅田貴司

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